オブザベで未来をトレースせよ!「オンサイト」する為のオブザベーション!
予復習を欠かさなかった真面目な学生生活を送っていた紳士淑女の諸君。
おはよう。マッソだ。
突然だが諸君はボルダリングジムに初めて行った日のことを覚えているだろうか?
色とりどりのホールド、高い壁、おおよそ人の登れるようでない傾斜、そして意味のわからない身体の動きから繰り出される曲芸のようなムーブ。
マッソは鮮明に覚えている。
ボルダーを初めてみた時の感じは「なんか怖そうな人多い」だった。
とりあえず身体の筋浮き上がりまくりだし、ドレッドの人がいたり、着てる服が金色のジャージでヤンキーっぽい人多いし、タトゥー入ってる人の割合も多いし。
でも今なら言える。
皆とても「真面目」だった。
考えてもみよ。
ボルダリングは誰でも上手くなれる代わりにマメに登り続けなければ、ムーブを精査し続けなければ、要するに「壁に向き合った時間と密度が結果として周囲に公表され続ける競技」なのだ。
真面目に取り組まなければ強くはなれない。
そう、今回のエントリーはそんな真面目な諸君に、少しでも1回に壁へ向き合う時の「密度」を上げてもらえればと思い述べていく。
マッソはオブザベが元々そんなに得意ではない。前陣速攻型なのでとりあえず登りながら考える方が性に合っているのだ。
だがオブザベを精査して結果得られたのは
・1課題を完登するまでに必要なトライ数が低下し
↓
・1回のジム訪問で色々な課題にトライ&完登出来るようになり
↓
・ムーブの精査が飛躍的に早くなり
↓
・色々できるから要するに強くなった!
ざっくり言うとこんな感じだ。
前陣速攻型の超イノシシ体制な血気盛んな諸君も多いだろう。お待たせした。
今回のオブザベエントリーは初心者から玄人まで為になる内容にしている。
ボルダリングを始めたばかりの諸君も楽しめる耳寄り情報いっぱいだ。是非読み進めて劇強ボルダーになってくれ。
ではこれからオブザベーションの秘技について述べていこう。
1、オブザベ初心者の諸君!「とりあえずオブザベ」はこれだけやっとけば間違いなし!
まずはオブザベと言ったらホールドの確認だ。
今回はこの課題を使って説明していく。
とあるジムのとある3級課題だ。
傾斜は100度〜110度程度だったと思う。
3級がまだ早いという人も大丈夫。
オブザベの基本は同じだ。
この黄緑の丸で囲ってあるのが課題だ。
スタートゴールにはそれぞれスタンプが貼ってある。
写真で丸が貼ってあるのでわかりやすいが、意外と壁を前にして課題を確認していると小さいホールド、またはボテに隠れているホールド、光の加減で光って見えないなど見落としがちなので注意してくれ。
1番最初、「この課題を登ろう」と決めたとする。
まずは壁に近づいて課題に使ってあるホールドを全て洗い出すことから始めよう。
人がいないことを確認してマットに乗ってみるのもアリだ。
ただし登りたい人がいたらすぐ退くこと。
キョロキョロしながら課題を確認せよ。
↑この赤丸でつけたホールドなどは最初は見落としがちだ。このホールドはゴール前の足場になる。ゴール取りで落ちるのは癪だろう。気をつけてくれ。
これだけでトライ数を1減らせたな。
また初心者、中級者でやりがちだが、「登った上からのホールドの見え方」と「オブザベをしている下からでのホールドの見え方」は全く違う場合が多い。
小さいホールド、特にボテの下に位置するホールドなどは見えない場合が多いため、「見えなくなりそうなホールドの上のボテの特徴」を覚えておくといい。
例えばこれは赤丸のホールドが青の四角で囲ったホールドに遮られて見えなくなる可能性大だ。
だから「ピンクのボテの下に黄色のポケットホールドがあったな」と覚えておけばいいのだ。
これでまたトライが数1減った。
まだ登らないぞ。
さあ今度はマットから完全に降りて全体を見渡そう。
大体のホールドの場所がわかったら手で取る順番を見ていくぞ。
この課題の場合、オブザベをざっとした感じだと
まぁこんな感じだろう。
④などはもしかしたら左手先行で取るかもしれないなぁ、などある程度余裕を持たせることが大事だな。
さぁ手の手順を確認した。
そうしたら初心者の諸君はざっとでいい、「あそこでこんなムーブするんだろうなぁ」くらいでいいから確認してくれ。
今回で重要と思えるムーブは
・オレンジ:スタートのフラッギング
・青:赤丸を取りに行く時の青ポケットマッチ
・赤:赤丸を取った後の右重心→左重心への身体の入れ替え
だろうな。この辺を頭に入れていざトライすればパーフェクトだ!
さらにトライ数が1減ったな!
このようにオブザベの基礎の基礎を確認するだけで3トライ減った。
さぁこのはもう少し上級になる。更にオンサイトへの道を突き進んでいこう。
2、中上級者の諸君!未来のムーブをトレースせよ!
中上級者の諸君。おまたせした。
さぁ諸君らに取っておきのオブザベを伝授しよう。
それは…
初心者時代のオブザベを深化させるのだ!
「おいおいマッソは馬鹿言ってんじゃないよ、もうこのエントリー読まないわ」
まてぃ!
このエントリーを閉じるのはまだ早い!
オブザベの極意は「精神で登ること」だ。ちゃんとそのやり方、マル秘テクも紹介する。しばし読み進めてほしい。
⑴ホールドの中の「お友達」をブラシで捜索せよ!
今まではホールドの大体の形状を見て「あそこはボテだからパーミングだな」とか、
「薄いからカチ持ちだな」と判断していただろう。
↑この赤丸などは見た目よりずっと中央部分が薄かった。
青丸はなるほど、ポケットは思ってたよりずっと入りやすかった。
そうすると考えてた力配分もズレてくる。
考えてたより甘ければいいが、予想以上にずっと辛い場合もある。
登り始めて「思ったよりも持つところがない」、「パーミングよりカチ持ち向きだった」というケースはとても多い。
これらは無理やりパワーでねじ伏せることもできる場合もある。
だが力はガンガン吸われていく。結果トライ数も減る。
「予想できた辛さ」と「想定外の辛さ」は疲れ方がかなり違う。
想定外だと無駄な力を使いがちだからだ。
なのでオブザベのタイミングでそのホールドの中にある持ちやすい場所、通称「お友達」を探しておくのだ。
それは下から見ていても正直わからない。
ホールドを触ってみるのもアリだが、諸君が触るのも足がつく範囲だろう。核心はどこにでもある。
なのでオススメは「ブラシで磨きまくる」だ。
諸君。登った後にヌメるからブラシがけするか、という方が大半だろう。
まてぃ!
非常にもったいない。
ブラシは登る前のオブザベ時にかけることでも高い効果を発揮する。その効果は3つ。
①ブラシでボテやカチ、ピンチホールドを磨いているとそのブラシから伝わってくる引っ掛かりや振動の具合でなんとなくホールドの形状が見えてくるぞ。
②ホールドを磨くことでトライ前からヌメりの心配を排除することができる。
ヌメりを心配することなく全力トライが可能になる。
③あとはオブザベの確実化だ。
トライする課題のすべてのホールドを登る順番で全て磨いていくことをオススメする。全てだぞ。ジブスなど足でしか使わないホールドもだ。
結果ホールドの見落としが激減する。
「あー、このホールドあったんだ…」はトライしてからでは言い訳にならないからな。
この為には「高いところまで磨けて、磨いているとなんとなくホールドの形状がわかるブラシ」がいいな。
諸君にはこのブラシをオススメする。
ブラシはPAMO一択だ。
純国産の柔らかくも剛性がある豚毛をふんだんに使っている。なのでホールドのや質感や形状がとてもわかりやすいのだ。
そんなに力を入れなくてもチョークはしっかり落ちるし、3段まで伸ばせるので淑女の諸君でもトップのホールドまで手が届く。
ジムにおいてあるのはすり減ってしまったものも多いので、自分で一本持つのもオススメだぞ。
⑵未来のムーブを「完全に」トレースせよ!
初心者の諸君に向けた時に「大まかにどんなムーブをするのか確認してね」と述べた。
今回はその深化だ。
ただトレースするわけではない。
「予想できるフラッギングの角度」、「このホールドとホールドで決めた時のキョンの深さ」、「下から見た時に体感するであろうホールドの距離感」など諸々含めてトレースするのだ。
要するにオブザベの時点で登ってる自分をほぼ完全にシミュレートする。
言葉にするとこんな感じだ。
こうしてみると盛りだくさんだが、書ききれないのでだいぶ割愛した。
これを言葉ではなく、実際に自分が登っているのを後ろから観察するかのごとく登らせてみるのだ。
勿論その為には日々自分が登っている映像をムービーとして見ていなければならない。
諸君、上手くなりたければ自分の登っているところをムービーとして残そう。
そして自分の登りを観察するのだ。
実際に自分のムービーを撮ると様々なことがわかる。
・思ったよりも乗り込みの膝が曲がっていなかった
・手ばかり伸ばして腰が入っていなかった
・とてつもなく足を上げているつもりでも実は身体が硬いだけだった
・フラッギングが浅すぎる
ざっと挙げただけだが、ほんの一例だ。
諸君個々でそのステージ毎の課題が見つかりまくる。
携帯のムービーを使いこなせ!
自分のムーブを撮ったことのない人も多いだろう。私が見ている限りだと自分でムービーを取っている人はかなり少ない。
多分必要ないという意見が半分、恥ずかしさが半分といったところだろう。
恥ずかしがることは何もない。
どのスポーツでも自分の動きを見て正確に理解することは必須だ。
実際に都内のジムではビデオ撮影をしてムーブの検証、トレーニングに結びつけている所がある。
絶対に脳内に思い描いているムーブと実際のムーブには差がある。その差をどれだけ埋められらかが上達の近道だ。
まずムービーは携帯の動画機能で十分だ。壁に立てかけたり、自分の持ってきた飲み物に寄りかからせて撮ればいい。
友達と来た時には友達に撮ってもらうのもアリだ。
では動画を撮る時の注意点を述べる。
①スタートからゴールまで、入るような画角で撮ること。
ジムは狭いので広角レンズを使うことをオススメする。
マッソはこの広角レンズは全体的にボヤけも少なく重宝してる。
狭いジムで壁とカメラの距離が近くても余裕で全体が入る。
お一人様ボルダーに是非勧めたい一本だ。
YIEASY スマホ用カメラレンズ クリップ式レンズ 3点セット 魚眼レンズ 広角レンズ マクロレンズ 自撮りレンズ カメラレンズキット 全機種対応 簡単装着
- 出版社/メーカー: YIEASY
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
②失敗したムービーを見ずに消さないこと。
必ずなぜ落ちたのか、ムービーを見ながら考えること。できれば成功するまでとっておこう。
③完登できなかった場合、次回そのジムで登る予定があるなら失敗ムービーは残しておき、帰ってから研究しよう。
この時ムービーを見ながら「クライマー視点」を思い出しながら見るとなお良い。
の3点だ。
また動画を撮る撮らないに限らず意識すべきだが、動画を撮ったら検証の際に注意してほしい点も以下にまとめておこう。
①痛み、疲労に敏感に。
自分が行っているムーブを見ながら「ここ足上げるのギリギリで痛かったな」や「このスローパー止まらなくてめっちゃ疲れた」「ここで息切れまくった」などのバイタルを覚えておこう。
他の課題をオブザベする時に「あれは多分おれじゃ足が上がらない」「あれは飛んで取りに行ったら止まらないホールドだな」などがわかるようになる。
②自分の手が届く範囲、足が届く範囲をよく意識してくれ。
身体が伸びきった時、乗り込んだ時、フラッギングの時、ランジをした時、デッドの時、それぞれでどの位置まで届くのかよく確認してくれ。
これは何種類もの課題を登って少しずつ精査できるものだ。焦らずゆっくりと確認して行ってくれ。
⑶玄人向け!オブザベを制する者はバイタルを制する!
さぁ最後の章だ。
バイタルを制する。
これは先ほど述べた「痛み、疲労に敏感に」を深化したものだ。
ある程度ムービーと自分の動きを擦り合わせていくと、「今自分はこのくらい足が上がってるんだろう」「このホールドを取る時の自分の腰の上げ方はこのくらいだな」などが登っている時にわかるようになる。
ムーブとイメージがうまく噛み合っている時だ。
これをさらに推し進めてオブザベに役立てる。
「そのムーブを行う時、ホールドを取った時の肉体疲労、筋疲労」を予めイメージすることで、身体への負荷も含めたオブザベをするのだ。
実はこのようなオブザベ、元々なんとなくしているのだ。「あの核心は絶対辛いよ」とか「疲れそうな課題だな」という言葉は諸君らも出てくるだろう。それをもっと具体的にしてやるのだ。
あのカチはこのくらい疲れるからその前に少しレストを入れよう
あの足はかなり高いから軸足はアウトサイドで乗っておこう
あそこはフラッギングを深く入れないと逆手がでない。そこまで手を持たせるように足腰を特に意識しよう
など対処法がどんどん出てくる。
それでも登れば予想と違うムーブ、ホールドも勿論でてくるし、そもそもオブザベで解析しきれないポイントもある。
そこだけ修正して再トライすればいいのだ。これができるようになるとトライ数は下手すると従来までの半分以下になる。
息の上がり方なども重要な情報だ。
登っている中でハードなムーブが出てくれば当然脈は上がり、息も切れる。
そういったバイタルもちゃんと覚えておき、似たようなムーブ、傾斜の課題があればその情報もオブザベに組み込む。
できることなら課題の中にレストポイントを作るなど自分オリジナルな戦い方が確立されていくのだ。
呼吸法については以前エントリーにまとめた。こちらも参考にしてくれ。
さぁ今回はオブザベの秘技を述べてきた。
今までおざなりにオブザベをしていた諸君も心機一転、優秀な武器としてオブザベを使っていってくれ。
今回は以上だ。
諸君らの健闘を祈る。