M A S S O

クライマーを筆頭に全てのアスリートへ捧ぐ

ボルダリング後の飲酒について 3リスクvs2メリット [アスリート全般]

f:id:masso140:20171206171737j:image

お酒大好きアスリートの紳士淑女の諸君。

 

おはよう。マッソだ。

 

マッソはなかなかどうしてお酒が好きだ。

 

昔から絶賛ビール党であるが、これからの時期は焼酎などもなかなか美味しい。お湯割りの季節だな。

 

このエントリーを見ている諸君の中にも無類の酒好きがいるであろう。

ボルダーの中にはボルダリング後の駆けつけ一杯のビールが楽しみだという者も多い。

マッソもそうだ。あれは美味い。

 

ただしそれが身体に良いのか悪いのか、それはまた別だ。

 

飲むのは各人の自由だ。

ただそこにどんなリスクがあるのか、もしくは享受できるメリットがあるのか正確に把握しておくことは栄養系について話してきたマッソとしては看過できないテーマだ。

 

さぁ、そんなわけだ。

今回はボルダリング後の飲酒がどう身体に影響を与えるかを述べていこうと思う。

 

 

リスク①ボルダリング直後に関わらず!「ガブ飲み」すると筋肉が死ぬ!

 f:id:masso140:20171206172225j:image

まずはリスクを纏めていこう。

後々メリットも書いて行く。良いところだけ読むなよ!

 

この「ガブ飲み」の定義は「何杯もひっきりなしに飲むこと」

 

個人の体質差はあるが、大体酎ハイ1杯4度のアルコールとして、1時間に4-5杯も開ければ「ガブ飲み」の定義には当てはまるだろう。

 

「ガブ飲み=短時間で大量にアルコールを摂取する行為」だからな。

 

では大量に身体にアルコールが入るとどうなるのか?

 

簡単に言うと筋肉が死ぬ。

 

これは比喩でもなんでもない。

体内の過度なアルコール濃度は筋肉の分解に繋がる。急性アルコール筋症(ミオパチー)と呼ばれていて、実際の症例として認知されているものだ。

 

恐ろしいことにミオパチーは速筋部位が最もダメージを受けやすい。また速筋部位の部分的壊死も報告されている。

以前のエントリーでも話したがボルダリングは速筋スポーツなのは周知の事実だ。

これは由々しい。

 

このガブ飲みNGはボルダリング直後だけではない。基本的にどのような状況でもボルダー、もといアスリートは痛飲すべきではないのだ。

 

慢性的なアルコールはその他にも短期的な身体パフォーマンスの低下、運動制御能力(判断・認知能力、神経伝達系共に)の低下に繋がる。

 

ボルダリングでの身体パフォーマンス、運動制御能力はムーブの遂行能力、足運びに直結しているのは諸君も細胞レベルで把握していると思う。

 

ムーブが遂行できない、しかもこの場合だと「なぜ先日できた動きが今できないのか理解できない…」と出口のない落ち込み方をする事になる。

 

結果モチベーションの低下、これが怖い。

 

ボルダリングは往々にしてメンタルスポーツの面が強い。

勢いで上級グレードを落とせたり、逆にメンタルが弱ればポテンシャルが発揮できなくなる。

 

結果、壁から落ちる。

 

「え?でもボルダリングした後にプロテイン飲んでるから筋肉合成されるっしょ?」

 

 

まてぃ!合成されません!

 

 

アルコールの摂取過剰は男性ホルモンであるテストステロンの合成を極度に抑制する。

 

筋肉が作られなくなるのだ。

 

ボルダリングにより筋肉が壊れているのに補修されなくなる。結果筋繊維がボロボロになる。

過度な飲酒は筋肉を殺し、「細胞レベルで弱くなる」ことになる。

よく覚えておくように。

 

※人間の身体は不思議である。男性が飲み過ぎるとテストステロン値が下がるが、女性の場合は暴飲でテストステロン値が上がる。

女性の場合飲み過ぎると男化するのだ。データとしてある。

アルコール好きの淑女の諸君、ヒゲが生え始めたら要注意だぞ。

 

 

リスク②酒のせいでレストが後回し?!

 f:id:masso140:20171206172149j:image

❶奪われる肝臓能力

 

人間の疲労回復は肝臓で行われる。

 

以前栄養について述べた際、「私たちのエネルギーの源は基本的に糖だよ。その老廃物で乳酸が作られるよ。乳酸はエネルギーになるけど時間がかかるよ」と言及した。

 

この乳酸、筋肉のあるところならどこでも、指も腕も肩も腰も足も…全身すべての乳酸は肝臓に集められ、肝臓で代謝される。

 

そこをアルコールが占拠するとどうだろう?

 

そう、疲労回復が遅れるのだ。

 

結果どうなるか

 

そう、レストに時間がかかるのだ。

 

ここがボルダーにとっては1番の問題だな。

特に連休や大会前の追い込み時、連登を考えるシチュエーションもあるだろう。そういった時はなるべくアルコールを控えた方がいい。

 

 

②奪われる栄養素

 

諸君。アルコールの代謝、タダで行われると思っていないだろうな?

 

アルコール代謝、がっつりビタミン、しかもB群が持ってかれるからな!

 

基本的にアルコールは「アルコール脱水素酵素」でアセトアルデヒド(これが残ると二日酔いになるのだ)へ分解される。

 

しかし日本人はこの値が低い者が多い。遺伝性だからしょうがないのだ。

 

そのアルコール脱水素酵素を補うためにビタミンB群がバンバン投入される。

以前の栄養素でも述べたな。

ビタミンB群は疲労回復の尖兵隊長なのだ。

これが減るとさらにレストに支障が出る。もう怪我まっしぐらだ。

 

だから諸君、飲む時はビタミンB群のサプリを多めにとっておくことをお勧めする。

 

そしてビタミンBが豊富にある=アルコール代謝がより迅速に進む、ということだ。(アセトアルデヒドはアセトインに代謝されるが、そこでもビタミンB群が使われる)

 

何が言いたいかというとその辺の肝臓エキスより余程効果的だぞ、ということだ。

参考にしてくれ。

 

以前ボルダー、もといアスリートが必要な栄養素については別のエントリーを作った。

「タンパク質だけじゃ全然ダメじゃん!」

と栄養素を再考できる保存版エントリーだ。

参考にしてくれ。

 

masso140-1.hatenablog.com

 

 

リスク③体重が増えがち?!

 f:id:masso140:20171206173340j:image

肝臓をアルコールが占拠しちゃって乳酸の代謝が進まない、だから疲労が残りまくるぞ!とリスク②で述べた。

 

そして肝臓を占拠されてしまうので、肝臓の糖分解まで低下する危険性がある。

するとどうなるか?

 

糖が分解されない→血糖値下がる→脳がお腹が減ると認識→「ラーメン食べようぜ!」→カロリー過多→重量級ボルダー→「課題落ちない…」

 

 

これがラーメンスパイラルだ!

 

 

飲み会後の「なんかラーメン食べたくね」はこのラーメンスパイラルが原因だ。このスパイラルが継続すると例え飲み会後にお腹が減ってなくても習慣のように食べてしまう。

体重がグレードに直結する我々ボルダーには中々手痛い。

 

またアルコール自体にもカロリーはある。アルコール1gで7キロカロリーだ。

 

「つってもビール1缶で14gしか入ってないやんアルコール。100キロカロリーくらいでしょ?ええやん」

 

 

それはまてぃ!

 

 

単純にアルコールだけ飲むならその計算で合ってるが、ビールは麦汁だからな!糖質も相まってよりカロリーは上がるぞ!

そしてカクテルが好きな諸君!甘い酒はこんなもんじゃないからな!

 

もともとアルコールは「エンプティーカロリー」と呼ばれる。

アルコールのカロリーは基本体内に残留せず、すぐに使われることから付いた名前だ。

 

ようは「飲んだらそばから消費されるから食べ物みたいにカロリー考えなくていいっしょ?」ということだ。

 

 

まあ間違ってはいない

 

が、

 

履き違えてもいけない。

 

 

エンプティーカロリーの裏にはこういうものが潜んでいる。

 

①確かにアルコールはすぐにエネルギー化するが、飲みながら食べている食物もこれから吸収される。

→個人で消費できる熱量は個々に決まっているので総エネルギーは過多!

 

②純粋なエチルアルコールを飲むなら「リアルエンプティーカロリー」だが、我々は「お酒」を飲む。

醸造酒(ビールとか日本酒とか)ならば糖分などもインしている為、勿論カロリーも増す。

 

そんな訳で「アルコール=気にしないカロリー」と考えていると痛い目を見る。

 

 

さあ今まではマイナスイメージの事ばかり話してきた。

一転、ここからは「飲んだらいいことあるよ!」と述べていこう。

 

マッソだって堂々とボルダリング後に飲みたいのだ。

意地悪をしたい訳じゃない。

さぁメリットを述べていこう。

 

 

メリット① 適度な飲酒はテストステロンUP!

 f:id:masso140:20171206172913j:image

フィジカルボルダーの諸君に嬉しいお知らせだ。

 

適度な飲酒はテストステロン値をUPさせることも知られている。

 

この場合の適度な飲酒量とは、「体重1kgにつき1gのアルコール量」だ。

 

ビールはアルコール度数5度程度、1缶350ccとすれば、1缶に14gのアルコール量が含まれている。

これをベースに覚えておいてほしい。

 

さて、アルコールによりテストステロン値が増えるというのは2006年にjakob氏が白人を対象に行った研究で明らかになったものだ。

男性に体重1kgにつき1gのアルコールを急性、慢性的にそれぞれ摂取させたところ「適度な飲酒量」にてテストステロン値が優位に増加したのだ。

 

勿論アルコール代謝には個人差があるし、そもそもアルコール代謝能力が遺伝的に高い白人対象なので日本人にそのまま置き換えることはできないが、「体重2kgにつき1gのアルコール摂取」程度ならこの研究の範疇だろう。

体重65キロならビール缶2〜3本ならOKですよ、というイメージだ。

 

ただし、それ以上の摂取はリスク①に書いた通りだ。

筋肉崩壊に繋がるため摂取量は各々コントロールしてほしい。

 

 

メリット②ボルダー飲みが強くする!圧倒的ストレス軽減!

 f:id:masso140:20171206173406j:image

 ボルダリングによって疲れた筋肉、メンタルへのご褒美としての意味合いだ。

 

諸君も正直このために飲んでる者が圧倒的多数だろうし、マッソもそうだ。

 

美味しいは正義だし、楽しいはモチベーションに繋がる。

 

せっかく楽しいボルダリングをしてきたのだ。締めも楽しみたい。

 

そしてボルダーと飲めば仲間も増えるし、世界も広がる。セッションに結びつけば強くなる。

 

今日成果が出た、出なかった、あそこに行きたい、あの課題をどう登る、このムーブが苦手…という話でボルダー同士交流を深められるというのは強くなる上でとても重要だ。

 

その場で仲良くなれれば後日セッション→ムーブが深化し強くなった!

そんな可能性もあるのだ。

 

もしかしたら諸君

そんな場で生涯の伴侶と出会いました…という可能性もあるのだぞ?

私はそういう者を何人か知っているからな。

 

一概に「アルコール=弱くなる」というイメージはNGだとマッソは思う。

 

要はメリハリの問題だ。

 

何事も程々に、自分を律し、情報を把握して嗜めばメリットに転ずるのだ。

無知なまま駆け出せば目が見えないのと同じ、転んで怪我をする。

 

本日は飲酒のリスクとメリットと銘打ち述べてきた。

列挙した情報を元に自分と相談して何事も糧にして貰えればとマッソは思う。

 

では本日はここまでだ。

諸君らの健闘を祈る。